以下に紹介する空色さんのブログのエントリを読んで、私もいろいろ考えたことがあったので、以下、私の考えを自分なりにまとめてみます。
なお、空色さんの記事はこちらになります。
http://startfroma.blog57.fc2.com/blog-entry-152.html エントリの内容はバフェットの株式投資スタイルについて。
バフェットの株式投資スタイルについて最近思うこと。
私は最近、バフェットの株式投資スタイルは、いわゆる「バリュー投資」とは似ているようで本質的には異なるものなんじゃないかと感じています。
これについては私も同感で、
ウォーレン・バフェットは「バリュー投資の父」と呼ばれる
ベンジャミン・グレアムから派生している、ウォルター・シュロスなどの、いわゆるバリュー投資家とは少し系統が違う投資家なのではないかと考えています。というか、バフェットを投資家と呼ぶことに違和感を感じます。
バフェットに関する様々な書籍を読むと、初期のバフェットと、
フィリップ・フィッシャーや
チャーリー・マンガーと出会った後の後期のバフェットでは投資手法が大きく変化していることに気付きます。バフェットに関するウィキペディアの略歴を参考にすると、グレアムの下で働いていたグレアム・アンド・ニューマン・カンパニー時代や、グレアム引退後のバフェット・パートナーシップ時代が初期の段階で、この頃のバフェットの投資手法は、バフェット自身が「しけモク投資」(『バフェットからの手紙』P.167)と呼ぶ古典的バリュー投資を実践していた時期になると思います。
空色さんのエントリではこのバリュー投資を以下のように定義されています。
「いわゆる『バリュー投資』」とは、「株価は短期的にはランダムであるが、長期的には企業の内在価値に収束する」という「法則」に則り、定量分析・定性分析等に基づき、その企業の内在価値に比べて割安と考えられる企業の株式を購入して一定期間保有した後、株価が企業の内在価値に収束したと考えられる段階で売却して投資収益を確定する投資戦略をいうと定義します(なお、以下では、単に「バリュー投資」といいます。)。
私の意見も概ね空色さんと同じで、割安株を買って、妥当な株価になれば売却するというのがバリュー投資の基本的な考え方だと思っています。
それに対して、後期のバフェットの投資手法はバフェット自身が、「「バリュー投資」という言葉は意味が二重になっています。投資が、少なくとも支払った金額に見合った価値を求めた結果の行為でないとすれば、一体何なのでしょうか?」(『バフェットからの手紙』P.153)と語っているように、この段階ではバフェットは従来のPBRやPERなどの指標を参考としたバリュー投資から一歩進んで、価値のあるビジネスを適正な価格で購入し、それを長期間保有するという、株式会社という仕組みを最も正しく理解した、最も理想的な方法で投資を行っていると理解しています。
空色さんの表現を借りれば、
つまり、「バリュー投資」は、企業の内在価値に着目しているものの、投資の対象はあくまで株式であるのに対し、バフェットの株式投資スタイルの投資対象は企業そのものと考えることができます。
という段階に達しているのが今のバフェットだと考えています。とは言え、少し前にニュースになったバフェットのモノライン救済のニュースの詳細などを見ると、バフェットにはアービトラージャーとしての一面もあるように思えるので、一概にバフェットが理想論的な投資を行っているとも断言できなさそうです。
ともあれ、バフェットの投資手法を実践するにはビジネスや経営に関する深い知識と経験が必要であり(初期の繊維会社としてのバークシャーへの関わりなど)、私個人の意見としては、バフェットは投資家というより、複数の事業ポートフォリオを保有するオーナー経営者としてみるほうが正しいように思えます。
ここまで書いて、私はどうなんだろうと考えてみると、私自身はビジネスオーナーや経営に関する経験が浅く、そこまで企業にかかわる気も無いので、グレアム直系の古典的バリュー投資で少しでも収益をあげることができればそれでいいと考えています。ということで、私のブログの副題の「アンチ・バフェット」なバリュー投資はこれからも続くことになりそうです。
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遅くなりましたが、先日いただいたコメントの返信記事を掲載しておきました。
>バフェットにはアービトラージャーとしての一面もあるように思える
株式市場のリターンがマイナスだった時にもバフェットのトラックレコードがプラスだったのは、アービトラージのおかげらしいですからね。
個人的に、バフェットは株式投資もアービトラージもコモディティも同じ投資哲学に則って投資していると思うので(だって同じ投資家なんですから)、バフェットの長期保有の部分だけを取り出して議論しても本質は分からないと思うんですよね。
私としては、彼は「朴訥で短期的利益を求めない賢明な投資家」なんじゃなくて「カネにうるさく儲けの機会を見逃さないがめつい相場師」だと思っています。
そうそう、Itoさんが記事で「バフェットからの手紙」を引用されていた部分、そのままコピペさせていただきました。
>空色さん
バフェットのお金儲け(お金ではなく)への執着心については、私もいろいろ感じるところがありますね。
詳細なコメントは後で空色さんのエントリに投稿させて頂きます!
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グレアムとバフェットと「バリュー投資」
多少時間がかかってしまいましたが、先日の記事「投資するのは企業か、株式か。」についてこなつさん、Itoさんからいただいたコメントに対す...
[2008/04/19 16:26]
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