昨年発売されてすぐに購入したのですが、ずっと寝かせてたままで、最近やっと読み終えました。
タイトルは相当怪しいです(笑)、が内容は面白かったです。「
投資を真面目に考える」の石坂さんの日記で”劇薬”と評されていましたが、その通りだと思います。ちなみに訳者は『
ウォール街のランダム・ウォーカー
』の訳者であり、『
ビジネスゼミナール 証券分析入門
』の著者でもある井出正介氏。インデックス投資のバイブルを翻訳しつつ、バリュー投資の手引書を執筆し、今度は投機とも言えるような投資術を紹介する本を翻訳。なんだか変な感じです。
ジム・クレイマー曰く、投資先進国であるアメリカでも個人投資家は無知でカモられているので、それを防ぐべくこの本を書いたとのこと。まっとうな内容もありますが、とてもデンジャラスな方法にも触れられているように思います。
まずは投機の容認。ポートフォリオの20%を上限に投機を行うことを薦めています。それはそれで楽しそうですがポートフォリオの20%が投機で吹き飛ぶのはあまり見たくありません・・・。ただし、これはまだ若くて、今後も継続的に資金を投入していける人だけに勧めているので、まぁこれはこれでいいのかなぁと思ったりもします。私はやりませんが。
次はローテーション戦略。相場サイクルにあわせて投資先セクターを変えていくという戦略です。様々なマクロ指標から相場サイクルを予想できるとしていますが、果たして本当にその予想が当たるのかどうか疑問に感じます。これも私にはできそうにありません。
他にも株価の大底(相場全体と個別銘柄)を予想する指標、逆に天井を予想する指標も紹介されていますが、参考程度にしておくほうが無難な感じです。中には使えそうだなぁと思える指標もありますが、相当な経験がないと指標を売買に生かすのは難しそうです。
逆に参考になったのは、第6章の「黄金のルール」でした。なかでも、長期投資のためのルール6、「バイ・アンド・ホールド」ではなく「バイ・アンド・ホームワーク」という考え方には共感しました。クレイマーは5~10銘柄への分散投資を推奨しており、各銘柄に最低週一時間のホームワークが必要だと述べています。これができないのであれば、個別株への投資は止めたほうがよいとまで言っています。
さすがに各銘柄に週1時間といわれると、普通の個人投資家には難しいと思いますが、実際個別株を持つのであれば短信や適時開示のチェックは必ず行うべきだと考えていますし、手持株のファンダメンタルに大きな変化があれば何らかのアクション(買い増すか売却するか)を考えなければならないので、単なる「バイ・アンド・ホールド」はクレイマーの言うとおり避けるべきだと思います。
本書の最後では駆け足でオプションや空売りについて触れられています。市場でカモられている個人投資家に空売りやオプション売買の方法を教えるのはどうなのか?と思いますが、クレイマー曰く、「個人投資家でも正しく理解して使えば、強力な武器になる」とのこと。
この本の内容をどう咀嚼して自分の投資手法に組み入れるかで、個別株投資家として実力を問われるような気がします。そういう意味で、やはりこの本は”劇薬”なのかもしれません。
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Itoさん こんばんわ
私も昨年ジム・クレイマーの本読みました。「Buy and Homework」自分でも心がけているつもりですが、現在個別銘柄への投資が常時15~20程度になっていますので、正直、全ての銘柄をWatchするのは難しいですね。
まあ割りとそれ程Watchし続けなくてはいけないような銘柄はすくないのですが。。
一寸古い本ですが、「フォーチュン・テラーズ 偽りの予言者たち」は読みましたか?
訳者あとがきに「ジム・クレイマーなどストリート中毒患者を活写した。。。」とありますが、ジャーナリストやアナリスト等、ストリートに暗躍する「占い師」の生態を筆者の取材で生々しく描かれており、ちょっとした読み物としてはおもしろいです。
役に立つことはないかもしれませんが。
>tstさん
こんばんは。私も10数銘柄でポートフォリオを組んでいるのですが、週10数時間のホームワークは無理かな、と思ってます。日本の新興・小型株が多いので、さすがにほったらかしにはできないと思っているのですが、四半期毎の業績と適時開示くらいしかチェックできてません。やる気のある人は数時間かけていろいろ分析しているようですが、なかなかそこまではできませんね・・・。
ご紹介頂いた本、読んだことが無かったので、早速amazonで検索してみました。面白そうなので注文して読んでみます。ありがとうございます!
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