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金子光晴 放浪三部作

 昔、留学時代にある友人から薦められて読んだ本を久しぶりに読んでみました。著者は、高橋源一郎から「だれのどんな日本語より美しい」日本語を書いたと評される詩人、金子光晴。当時、私は留学先でかなりひどい生活をしていたのですが、この本を読んで、私のほうがまだマシだと思ったのを良く憶えています。最近読み直しましたが、やはり文章はとても美しく内容は滅茶苦茶でした。

 以下簡単な内容紹介。

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金子 光晴

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 大正12年7月、詩集『こがね蟲』を出版するが、同年9月の関東大震災発生により詩集どころではなくなる。その後女学生(森三千代)と出会い、孕ませ、結婚。子供は無事生まれるが詩人では食えず、生活苦。妻に新しい恋人ができる。金子、妻を恋人から遠ざけるため、パリへの旅行を企画。やっと金の工面がつき、妻とその恋人を無理やり引き離し、とりあえず上海に到着。上海で小金を掴むが、すぐ使い果たす。また金を工面し、香港を経由してシンガポールへ。東南アジアにて再び金策、まとまった金ができたところで妻1人だけマルセイユ行きの船に乗せ、金子自身は再び東南アジアで金策。

 ここで第一部が終わります。かなり無茶なことをしてますが、書かれている文章はすばらしいです。お気に入りの一節は「唇で触れる唇ほどやわらかいものはない」。

ねむれ巴里ねむれ巴里
金子 光晴

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 金子、東南アジアで金の工面がつき、妻の後を追いマルセイユへ向かう。船中で中国人女学生を口説く。船中で様々な変態行為に及ぶ。マルセイユに到着後、すでに妻がパリに着いていることを知る。数日後、パリで妻と合流。妻に新しい男ができていないことを知り安心するも金は尽き、また生活苦。金のために男娼以外のどんなことでもやり、1年ほどパリやその周辺で過ごす。切羽詰ったところで、金子は古い友人から金を借り、妻を置いて先に日本へ帰る。

 ここで第二部終了。相変わらず無茶してます(笑。この巻で心に残っているのはシンガポールからマルセイユへの船中でのこの一節、「腹のほうから、背のほうをさぐってゆくと、小高くふくれあがった肛門らしいものをさぐりあてた。その手を引きぬいて、指を鼻にかざすと、日本人とすこしも変わらない、強い糞臭がした。」です。若き日(といっても30代)の金子光晴、かなりキテます。一生忘れられそうに無い文章です。

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金子 光晴

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 金子、日本には戻らずシンガポールで下船し、再び東南アジアで妻の帰国費用の為に金策。シンガポールで華僑の女を口説く。思うように金が集まらず、現地人から娼婦を押し付けられたりする。そうこうしているうちに、妻三千代は実家からの送金を受け、日本への帰国途中にシンガポールへ寄港。妻は船中で新しい恋人を作っており、金子は妻と新しい恋人を別れさせようとするも、3人の関係は曖昧なまま、妻だけが先に帰国する。金子、ドリアンを食う。妻からの手紙を受け取り、息子と待っているとの連絡を受け、知人から金を借り、ついに帰国。妻三千代が船中で知り合った新しい恋人は、日本に到着後、実家が破産したことを知り、三千代の前から姿を消したことを知る。

 これで三部作完結です。この巻でもやはり心に残っている一節があります。シンガポールの娼婦の家の描写で「板屋根のうえに陽が照りつけ、すきまを洩れてさしこむ光が縦横から交叉して、捕えられた青白い微塵が沸立っていた。」という一文です。


 この放浪記(自伝)が描かれたのは著者の晩年(1970年代)ですが、実際に金子光晴がアジア、ヨーロッパを旅したのは大正の終わりから昭和のはじめにかけての数年間です。時間が空いている分だけ客観的になっているのか、自分自身を突き放したような記述が目立ちます。

 当時、同じ時期に別の友人から沢木耕太郎の『深夜特急』を薦められたのですが、その自意識過剰な文章に当てられて、1冊も読みきることができませんでした。お陰で、今でも沢木耕太郎の本はうけつけません。同じ貧乏旅行記を読むなら『深夜特急』より金子光晴がお薦めです。
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[ 2007/02/23 21:52 ] 読書・映画・その他 | TB(0) | CM(5)

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[ 2007/02/23 22:49 ] [ 編集 ]

沢木耕太郎は大昔にそう感じて以来ずっと読んでないので、今読んだらもしかして感想違うかも。

でも、どうしても今更読み返す気にはならないのです・・・。そういうとこ頑固やからかな(笑。
[ 2007/02/23 23:09 ] [ 編集 ]

私東京に引っ越してくるとき春樹と金子光晴だけ持ってきた。
おじいちゃんになってから書いているから多少脚色っぽいのもあるんだろうけど滅茶苦茶だよね(笑)
小学生の頃、太平洋戦争の授業で“息子を戦争に行かせたくないから松の生葉で燻って肺病にした作家がいる”と聞き、凄く記憶に残っていたのですが、なんとそれが金子光晴だったのよ(笑)
[ 2007/02/24 13:25 ] [ 編集 ]

Itoさん、こんにちは!

> 当時、同じ時期に別の友人から沢木耕太郎の『深夜特急』を薦められたのですが、その自意識過剰な文章に当てられて~

えーと、私はまさに自意識過剰な年頃に、それこそ夢中で20回くらい読みました(笑)
沢木耕太郎がピックアップしているからという理由で、金子光晴も読んでみた覚えがあります(笑)

ただ、今から読むとまるで別物なんでしょうね。
金子光晴は、今もう一度読んでみたいなぁ。
と思わせる記事でした。面白かったです。
[ 2007/02/24 13:56 ] [ 編集 ]

>ほあみーさん
やっぱりコメントくれましたね。私にこれを薦めた張本人が(笑。

読んでるとこれは脚色だろ?ってツッコみたくなる部分も多々ありますが、やはり面白いです。詩の方もちょっと読んでますが、これもまたかなりキテますな。

>abitaさん
記事書きながら、沢木耕太郎好きの人には反感買っちゃうかもと思ったりしてましたが、やっぱりそのまま書いちゃいました。

確か、『深夜特急』の第一巻で、マカオのバカラで幾らかの金を擦って自己嫌悪に陥るシーンがあったと思うのですが、その文章がどうしても気に入らなかったのが沢木耕太郎嫌いになった理由です。それ以来読んでないので、どんな文章だったかはよく憶えてないんですけど(笑。

金子光晴はうんこやま○こさえ美しく表現できる稀有な作家(詩人)だと思ってます。
[ 2007/02/24 15:33 ] [ 編集 ]

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