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『証券分析』 4

 『証券分析』読書メモの続き。

第29章 普通株の分析-配当
 配当率は単純な事実で分析の必要はないと思われるが、それが本当に意味するものを正しく理解するのはかなり難しい。(中略)適切な配当政策とは何かという点についても、経営陣と株主の基本的な考え方には大きな違いがある。このため普通株を保有する目的についても、①市場性ある有価証券を保有する、②その会社の利益権を持つ-というまったく異なる2つの考え方に基づいている。

(配当収入を目的とした普通株の投資)最近までの配当収入は普通株投資の大きな目的だった。その理由は、企業の主な目的が株主に配当を支払うという単純な論理に基づいている。

(配当しない政策)株主に配当という形で現在の利益を分配しない経営政策には、①財務力(運転資本)の強化、②生産能力の向上、③過大資本の是正-といったメリットがある。(中略)しかし、いわゆるそうした「保守的な配当政策」を株主が本当に無条件で納得しているというのは実はウソであり、現実は不承不承ながら受け入れざるを得ないというのが実像であろう。一般投資家が明日の利益より今日の配当を望むのは当然である。

(利益再投資の是非)
●大前提-会社にとって利益になることはすべて株主の利益にもなる
●小前提-利益を配当として株主に分配する代わりに社内に留保すれば会社の利益になる
●結論-利益を配当として払うのをやめれば、結果的には株主の利益になる
 この三段論法の間違いが大前提にあることは明らかであろう。「会社にとって利益になることはすべてオーナー(株主)の利益にもなる」といえるのは、その利益が社内に留保されるときに株主の犠牲が条件にならない場合だけである。株主に分配されない利益が会社内に留保されれば、その会社の財務力は強くなるかもしれないが、それがオーナーの利益となるかどうかというのは本当はまったく別問題である。
 例えば、1株当たりの利益が10ドルで7ドルの配当をしている企業の場合、差額の3ドルを毎年利益剰余金として留保すれば、その株式価値は数年後に大きく上昇するはずである。しかし実際には、その株式価値の上昇率は年3%の複利率よりはるかに小さいのである。その逆に、3ドルを配当に回して7ドルを社内に留保するとすれば、状況はいっそうはっきりするだろう。つまり大幅な利益の積み増しが株式価値の上昇をもたらすのは間違いないが、その上昇率が年7%の複利率になることなどまずあり得ないだろう。このように、利益の大半を再投資利益として社内に留保することの問題点は明らかである。


 利益の再投資と配当の関係については、『バフェットからの手紙』や『株式投資の未来』でも同じような内容が書かれていたように思います。利益を配当せず再投資することが認められるのは、投下資本に見合ったリターンにより、企業価値(株式価値)をさらに向上させることが出来る場合のみということになります。しかし、多くの企業は収益力を維持するために利益を再投資し、(理論的には)最終的に資本コストと収益率が等しくなるまで企業間の競争が続きます。もっとひどい場合、収益率が資本コストを下回ることさえあり得ると考えられます。

 安定した配当を行えない企業は収益力の維持に常に追加資本の投下が必要である(利益の再投資による企業価値の向上無し)か、過剰競争により収益率が資本コストを下回り、企業価値が漸減していると考えられます。強大な参入障壁や競争優位性がある企業には上記の考え方は当てはまらないと思いますが、原則的には無配の企業への投資は慎重に行うほうがいいように感じます。
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[ 2006/10/13 22:12 ] 『証券分析』 | TB(0) | CM(4)

う~む。

ども。

グレアムの配当に対する考え方の章なんですね。
まだこの時代にはファイナンスの理論体系が
完成されていなかったのでしょうが
それでもやはりグレアムの視点は
経営側よりも投資家側からのように見えます。

あと資本コストについてですが
90年代後半から2002年まで日本企業全体でみるとずっと
資本コスト>資本収益率になっています。
逆転したのはやっと2003年のようです。

ファイナンスの研修受けておられたItoさんに
書くのは気が引けるのですが(^^;)
[ 2006/10/18 22:01 ] [ 編集 ]

うーむ。

コメントありがとうございます。

この章に限らないのですが、さすがに1930年代の本なんで古いなぁと感じる部分が多いです。例えば、この後の章が損益計算書の分析なんですが、今の会計制度なら「そんな減価償却方法はありえね~」って方法での粉飾決算の例が出てきます。

> 90年代後半から2002年まで日本企業全体でみるとずっと
> 資本コスト>資本収益率になっています。
> 逆転したのはやっと2003年のようです。
バブル以降のバランスシート調整により収益率が異常に低かったってことでしょうか?以前、89年~06年までの東証一部銘柄の平均予想PERを見たときに、02年ごろまで平均予想PERが40~160倍となってました(http://quai62.blog15.fc2.com/blog-entry-463.html)。WACCの算式と理屈はなんとなく理解できてるつもりなんですが、資本コストと金利(負債の資本コスト?)、PER(株主資本の資本コスト?)の関係をどう考えればいいのかイマイチよく理解できてません。

ファイナンスの研修なんていっても、薄っぺらいテキストを読んで簡単なテストに答えるようなレベルなので、かなりいい加減です。本棚には『証券分析』並みの厚さのマッキンゼーの『企業価値評価』が一応並んでますがホコリ被ってますから(笑。まだまだ勉強不足です。
[ 2006/10/18 22:31 ] [ 編集 ]

う~む。う~む。

ども。お返事ありがとうございます。
えっと私が読んだ本は「証券分析入門」のp9です。
(確かItoさんも持ってましたよね?)

資本コストの計算式は何を使ったのかわかりませんが、
NOPATと資本コストの上場企業の合計額が載っています。

資本コストと金利の関係は随分と恣意的だと思います。
基本は長期金利を無リスク利子率と考えて
それにリスクプレミアムを何%か上乗せしたものを
株主資本コストと考えるんですよね。

実際は個人は長期金利の利率で運用できなかったり、
リスクプレミアムを何を基準に、
例えば株のリターンを基準にするなら期間をいくらにするとか
いろいろと疑問が湧きます。(私は)

PERと株主資本コストは私は関係ないと思うのですが
PERが高ければ株主資本コストは結果的に低く見積もられてるとか
そんな感じではないでしょうか。
もうちょっと詳しく知りたいところです。

あとマッキンゼーの企業価値評価は読める気がしません(^^;)
ヘタレです。
[ 2006/10/19 23:52 ] [ 編集 ]

二日酔いです・・・

マッキンゼーと同じくホコリを被って書棚に鎮座していた『証券分析入門』を取り出して読んでみました(実はコレもまだ読んでないんです・・・)。数年前までの日本企業は間違いなく”資本を食う豚”だったんですね・・・。同書の247pでは、「10年前には6.3%だったWACCは、2004年には3.7%に低下している」とあります。これだけ資本コストが低ければ、利益率が資本コストを上回っていて当たり前だと思うのですが、つい最近まで日本企業の収益率がこれほど低かったとは思ってませんでした。『証券分析入門』、なかなか面白そうなので『証券分析』を読み終えたら、ちゃんと読んでみようと思います。

ちなみに私の中途半端な理解では、PERの逆数=益利回り(投資家サイドから見て)=株主資本コスト(企業サイドから見て)で、PERが高ければ株主資本コストが低い(増資等による資金調達が有利)、PERが低ければ株主資本コストが高い(借入等による資金調達が有利)。ただし、PER=資本コストとするのは、PERの算出式に営業外損益も含まれてしまうので、すこし(かなり?)正確性に欠ける。といった感じで考えています。もっと勉強して、いろいろな指標を有機的に結びつけて理解できるようになればいいかなぁと思ってます。


> あとマッキンゼーの企業価値評価は読める気がしません(^^;)
> ヘタレです。
私も同じです。まだしばらくの間は書棚でホコリを被る日々が続きそうです(笑。
[ 2006/10/21 22:32 ] [ 編集 ]

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