少し前の
エントリーで触れた
東京工業品取引所商品指数(TOCOM Index)が、7月24日より
東京工業品取引所サイトで公開されています。
2002年5月31日の終値を100とした指数で、本日2006年7月26日の指数が
287.29となっています。この4年で約3倍とは・・・。コモディティだけに長期で見ればインフレ負けすることはないでしょうし、ジム・ロジャース曰く
「歴史的に見て、株と商品の価格変動には負の相関がある」、つまり株が下がれば商品が上がるとのことですので、株式や債券、不動産(REIT)以外の投資先としてコモディティを取り入れるのも面白いかもしれません。
実際最近読んだ本によれば、海外の年金基金ではコモディティをポートフォリオに組み込んでいることもあるようです。個人のポートフォリオでアセット・アロケーションを考えるなら、単純に株式とコモディティでポートフォリオを組んで、個別株式投資による絶対利益を追求しつつ、コモディティ・インデックスとのリバランスでリスクヘッジするって戦略もありかもしれません(なんとなくボラティリティがものすごく高くなりそうなイメージがありますが・・・)。
前回の記事によれば、TOCOM Indexは今年度中に上場を目指しているとのこと。この指数は工業品(エネルギー・非鉄金属・貴金属)だけで構成されているので、バランスが悪そうです。他の商品取引所でも同じような指数を作って農産物なんかも含めた指数も上場してきたらなかなか面白そうです。
とりあえず"TOCOM Index"、早く上場してくれないかなぁ。注目されないうちに(ずっと注目されないかもしれませんが)こっそり仕込んでみたいです。
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僕もコモディティに興味があるのですが、コモディティという資産クラスは、
そもそも期待リターンはプラスなんでしょうか?
なんとなく、為替と同様に期待リターンが0のような気がするのですが…。
私がコモディティに関して読んだ本は『ジム・ロジャースが語る商品の時代』だけですが、その本で紹介されている「商品先物と実話と神話」という研究によれば、
この45年間で見ると商品はインフレヘッジの手段として株式と債券のどちらより優れている。1959年から2004年における株式と商品、債券のリターンを比べると、商品指数の年平均リターンはS&P500のリターンと同水準であった(債券はS&P500を下回っていた)。また分析した商品先物のボラティリティは、S&P500に含まれる株式のボラティリティを若干下回っていた。とのことです。最低でもインフレ以上~株式並みの期待リターンはあると考えていいと思います。
また、ジム・ロジャースは「インフレはモノの値段の上がること以外の何物でもない」とも述べています。商品は短期的な需給バランスによるボラティリティは発生するものの、商品(モノ)が長期で見ればインフレに負けることは絶対に有り得ないし、新興国が成長すれば必然的にモノ不足による商品価格の上昇が起こるというのがジム・ロジャースの主張のようです。
また、通貨と商品の比較については、「中央銀行は輪転機の準備が整いさえすればいつでもお金をばら撒けるが、虚空から新しい原材料や食料品を出して見せることはできない」と述べています。
金本位体制が崩れて通貨が「不換紙幣」になった時点で通貨は投資対象ではなくなってしまいましたが、商品は常に誰かにとって価値を持つ実体のあるモノであるので、信用のみで成り立つ”通貨”、倒産の可能性がある”株式”、デフォルトの可能性がある”債券”など、どの資産クラスより安全かつ確実な投資対象なのかもしれません。
私、先日ニッセイコモディティファンドを例によって1万円だけ勉強のために買いました。
商品の上昇率はインフレ率とおよそ同じだと思っていたのですが違うのですね。
現代ポートフォリオ理論で投資をするなら違う値動きをする金融商品をポートフォリオに入れるのは、単純にリスク分散になりますけど、水瀬さんのおっしゃるとおり期待リターンが0であれば意味がないと思っていました。
勉強になりました。
ニッセイコモディティファンドの買い増しを検討してみます。
Itoさんへ
混同されがちですが、「過去リターン」についてではなく、「期待リターン」について申し上げているのです。
例えば、株・債券・不動産などは保有することでキャッシュフローを生み出すので、「期待リターン」はプラスと言われています。
(ご参照)山崎元氏の記事
http://www.rakuten-sec.co.jp/ITS/Yamazaki/V_TOP_Yamazaki_20050401.htmlその延長線で考えると、金とか石油などの商品は保有しているだけではキャッシュフローを生み出しません。
ゆえに、期待リターンは0ではないのか?という疑惑が頭から離れません。
あるいは、0ではないにしても、相当低いような気がします。
そう言いながら、厳密な意味での期待リターンの具体的計算方法を、僕は分かっておりません。
過去リターンをもとに、リスク(標準偏差)を加味して、なんらかの計算をするのだと思うのですが…。
間違っていたら、ぜひご指摘下さい。
いや、気持ち的には間違いであってほしいのです (^^;
>かまぽんさん
> 私、先日ニッセイコモディティファンドを例によって1万円だけ勉強のために買いました。
私も同じです。初めはお小遣いから1万円分でした(笑。その後に家計からもう少し追加投入しましたが・・・。
> 商品の上昇率はインフレ率とおよそ同じだと思っていたのですが違うのですね。
私も「インフレ=モノ不足(石油ショックとか?)で商品価格が上昇すること。もしくは、通貨の信用度が下がることで商品価格が相対的に上昇すること」と思っていたので、どっちにしてもインフレ率と商品の上昇率は同じだと思っていたんですが、過去の実績では商品価格の上昇率はインフレを上回っているようです。その理由は勉強不足で分かりません・・・。
>水瀬さん
期待リターンの計算方法を、昔使ったテキストを引っ張り出して見てみました。そのテキストによれば、次のようになっています。
期待収益率=∑(生起確立 X 各状況の予想収益率)EX)
投資額50万円
予想状況A:生起確立30% 予想収益30万円(60%)
予想状況B:生起確率50% 予想収益10万円(20%)
予想状況C:生起確率20% 予想収益△10万円(△20%)
このような投資案件の期待収益率は、予想される収益率の加重平均で計算されます。
=0.3x60%+0.5x20%+0.2x△20%=24%
となります。
期待リターンでググってみたら、こんな解説も出てきました。
http://www.nli-research.co.jp/stra/stra16-2.html結局、期待リターンは、過去のリターンや将来の予想キャッシュフローから推計するということになるようです。
問題は、なぜ商品が「大まかには為替レートや商品先物取引がそうですが、市場全体がゼロサム・ゲームの構造になっていて、売り方・買い方が共に同じ大きさのリスクを持っていて、両者の損益の合計はゼロ」にも関わらず、過去に株式並みの実績リターンを生んだのかということになりますが、これはかまぽんさんへのコメントにも書いたとおり、わかりません(笑。
これは私見(ジム・ロジャースの受け売り)ですが、あらゆる金融商品(通貨・株式・債券等)は無価値になるリスクがあるが、商品は常に実物としての価値があること、世界的な経済成長により徐々に商品(資源)不足が進んでいることなどが株式並みの実績リターン生み出す理由になっているのかもしれません。
Itoさんへ
ご教授いただきありがとうございます!
期待リターンは、過去のリターンや将来の予想キャッシュフローから推計するということになるんですね。
とても勉強になりました。
結局、コモディティの期待リターンがプラスの根拠は、世界の長い歴史の中でずっとインフレ傾向であったこと、という感じかな。
>水瀬さん
こちらこそありがとうございました。
コメントを頂いたお陰でいろいろ勉強し直すよい機会になりました。
水瀬さんのご指摘を受けて、コモディティについては、まだまだわからないことが多いと改めて実感しました。株式や債券、不動産に比べると商品投資に関する研究や手引書はまだまだ少ないように思います。商品投資に関する面白そうな本を見つけたら紹介してみようと思ってます。
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