表題の2冊を読了。ずいぶん前に購入したんですが、ずっと本棚で眠ってました。最近やっと読む順番がまわってきて、2冊連続で一気に読んじゃいました。
こちらの方はちょっと古い本ですね。大型株vs小型株、資産株vs成長株の長期リターンや世界各国の株式投資の長期リターン(しかも1926年から!)、株式と債券のリターン比較など、とにかくデータが豊富です。イメージ的には『ウォール街で勝つ法則』のデータ収集期間を長くして、詳しく解説を付けたって感じでしょうか。結論としては、米国株式のインデックスファンドを中心として、小型株や外国株などに分散&長期投資するがよろしい、という事のようです。直後に読んだ『株式投資の未来』のインパクトが強くて、正直あまり印象に残っていません・・・。
こちらは非常に面白い内容でした。内容を要約すると、
成長株投資の危険性や
配当の重要性、
国際ポートフォリオということになると思います。
成長株投資の危険性については、著者の言葉を借りれば、
「株式の長期的なリターンは増益率そのものではなく、実際の増益率と投資家の期待との格差で決まる。」という一文に集約されると思います。増収率が高くても、それ以上に投資家の期待が高ければ(株価が高ければ)得られるリターンは少なく、増益率が低くても投資家の期待が低ければ(株価が安ければ)高いリターンを生む、高すぎるプレミアム(PER)がついた株に投資すべきではないと警告しています。
第7章のタイトルは”資本を食う豚”というものですが、これを見て以前読んだ『バリュー投資入門』の収益バリューに関する解説を思い出しました。
収益バリューの計算では成長性を無視しなければならない。なぜならば、競争優位性も参入障壁もない企業であれば、資本投下に対して企業がもたらすリターンは、資本調達コストとちょうど等しくなるからである。ということで、参入障壁に守られていない一般的な企業であれば、投下した資本により生み出された利益は資本コストに食いつぶされ、結果的に企業の本質価値は変化しないし、経営者が無能、もしくは競争が熾烈であれば資本投下による成長で得られる利益が価格競争などで資本コストを下回る可能性があり、この場合成長すればするほど企業の本質的価値が破壊されるということになります。多大な設備投資で先端技術を誇る企業の多くは、ただの
”資本を食う豚”かもしれません。
ちょっと話がずれました。
配当に関しては、配当とコーポレート・ガバナンスを結び付け、大部分の経営陣が株主の利益のために行動していないと仮定した場合、配当だけが株主と経営陣との間に信頼関係を築く唯一の方法であるという考え方のようです。確かに内部留保したを利益を有効に再投資して、さらに企業価値を高めてくれるのであればいいですが、無配の”資本を食う豚”では目も当てられません。また、長期投資におけるリターンの大部分が配当の再投資によるものであるともしています。
最後の国際分散投資については、P.266の「株式時価総額の国別シェア」が興味深かったです。
米国が50%強、欧州全体で28%程度、日本が10%弱、その他の代表的な新興国である中国、インド、ブラジルなどは0.5%以下です。新興国の時価総額シェアがこれだけしかないとしたら、中国株への集中投資や新興国ファンドの比重を高めることは非常に危険であることがよくわかります。また、日本の株ばっかり買ってないで、欧米の株にも分散しないとダメだとも言えます(欧州の株ってどうやって買うんでしょう??)。
『株式投資の未来』の結論として、『長期投資のすすめ』と変化している部分は、国際分散ポートフォリオの構築と、インデックスファンドへの投資プラス特定の要件を満たす個別銘柄投資でインデックスファンドを超えるリターンを狙うということですが、なんとなく中途半端だなぁと思います。前半部分で個別銘柄のリターンにあれだけ触れたんだから、少なくとも米国株(自国株)の投資は個別銘柄への長期投資をすすめて欲しかったと思います。
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