『安土往還記』(辻邦生著)読了。
”投資を楽しむ♪”のまろ氏に紹介していただいた本です。いつもの図書館で借りてきたのですが、あまりにも古くてボロボロなので、発行日を見てみたら昭和47年となっていました。私が生まれる前から図書館にあった本のようです。
それほど長くない小説ですが、密度の濃い内容でした。この小説では、西洋人の目から見た信長が描かれていますが、実際は筆者の理想の人間像を描いているように感じます。そういう意味ではこの小説に登場する”信長”はあまりにも現代人過ぎて、歴史小説として読むと少し違和感があるかもしれません。
ついでに、本棚から過去に読んだ信長ものを引っ張り出して拾い読みしてみました。
一番初めに読んだ信長モノの小説はこれ。中学生の頃だったでしょうか。
これは有名ですね。信長に関するお馴染みのエピソードが数多く登場し、信長やその周辺のキャラクターにも馴染みやすくて読みやすい歴史小説です。
次はこれ。
信長が家康の嫡男・信康に切腹を命じる場面から始まるこの小説では、信長の嫡男・信忠(やその妹・徳姫)を通して信長を描いています。”父子”という視点から描かれる信長像がなかなか新鮮な感じです(古い小説ですが)。
その次はこれ。
『
武功夜話』をベースにしている小説で、『
信長公記』を基にした作品には登場しないエピソードなどは面白いです。が、深みが無いと言うか平板というか・・・ちょっと軽めの歴史小説といった感じです。
そして、次は司馬遼太郎。
ちょっとえこ贔屓が入りますが、やはり面白いです。
まだまだ続きます。次はこの3冊。
秋山氏の『信長』は
まろ氏の記事でも紹介されています。この本は小説ではなく評論か伝記といった感じです。『
信長公記』『
武功夜話』などの史料からの引用に始まり、他の様々な資料や書物・人物から”信長”の姿に迫る内容は圧巻です。
宇月原氏の『信長―あるいは戴冠せるアンドロギュヌス』は歴史小説と言うよりも伝奇小説というべきでしょうか。小説としては面白いと思います。
最後は、小泉首相も愛読していると言う(?)『信長の棺』。でも信長はあまり出てきません。”本能寺の変”に関するミステリー小説と言った感じです。面白くないことも無かったのですが、内容はあまり印象に残っていません。ブックオフで購入して、読んだあとすぐにヤフオクで売ってしまいました。
と言うことで長くなってしまいましたが、織田信長という人物は日本史上ではかなり特異な存在で、いろんな角度から描くことが可能なんだなぁと改めて痛感。いつか『
信長公記』『
武功夜話』(高価ですが現代語訳あり)や
ルイス・フロイスの
『日本史』
なども読んでみたいと思っています。
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しかしずいぶんたくさんの本を読まれてますね。
戦国時代の歴史小説は、
http://kazusanosukede.gozaru.jp/index.html↑↑ここのホームページが凄いですよ。
これ、凄いデータベースですね・・・。もともと大学時代の専攻が歴史だったので、歴史小説はよく読んでいるつもりでしたが、日本の戦国時代だけでこれだけの本が出ているとは思いもよりませんでした。一生かけても読みきれそうに無いですね・・・。
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