さて、今回は四季報スクリーニングを使用した収益バリューの算出とその有効性の検証です。
抽出条件に使用した条件式
1.財務格付(SAF2002式)の条件式で財務が比較的健全な銘柄を抽出します。抽出条件は資産バリュー株の場合より若干甘くしています。
2.収益バリュー算出の条件式
(([連・当期利益(0)]+[連・当期利益(-1)]+[連・当期利益(-2)])/3)/0.06本来なら永久還元定義式[PV=C/(r-g)]から収益バリューを算出すべきでしょうが、ディスカウントレート(r-g)に関してそれぞれの企業についてのリスク(r)と成長率(g)をいちいち考えるのはめんどくさいので、ここでは”ディスカウントレート”=”期待収益率(PERの逆数)”としています。事業の収益力(C)については、3期分の純利益(四季報予想の今期予想純利益・前期純利益実績・前々期純利益実績)の平均値を使用しています。また、予想の難しい成長性はバリューとして考えないという観点から、個別企業の成長性を考えるのは無駄とも思います(ただし、現在の収益力がある程度の期間継続するかどうかの分析は必要かと思います)。ちなみに、今回の資産バリュー算出の条件式では、株式投資で最低限求められる期待収益率は6%と仮定して、(r-g)を0.06としています(PERで約16.7倍)。
3.正味現金(ネット・キャッシュ)算出の条件式
[連・現金預金(-1)]+[連・有価証券(-1)]+([連・投資等(-1)]*0.5)-[連・有利子負債(-1)]-([連・保証債務等(-1)]*0.5)現金・有価証券は100%評価、投資等資産は50%評価とし、念のために保証債務等も50%評価で負債としてキャッシュから差し引いています。
4.PERとキャップレート
PER:
[DL・週足終値(円)(-1)]/(([連・当期利益(-1)]*1000)/[最新発行済株式数(千株)])キャップレート(%):
(([連・営業利益(-1)]*0.6*1000)/(([DL・週足終値(円)(-1)]*[最新発行済株式数(千株)])-([連・現金預金(-1)]+[連・有価証券(-1)]+([連・投資等(-1)]*0.5)-[連・有利子負債(-1)]-([連・保証債務等(-1)] *0.5))*1000))*100一応条件式に入れています。
5.時価総額/(正味現金+収益バリュー)の条件式
([DL・週足終値(円)(-1)]*[最新発行済株式数(千株)])/((([連・現金預金(-1)]+[連・有価証券(-1)]+([連・投資等(-1)]*0.5)-[連・有利子負債(-1)]-([連・保証債務等(-1)]*0.5))+((([連・当期利益(0)]+[連・当期利益(-1)]+[連・当期利益(-2)])/3)/0.06))*1000)※時価総額は千円単位、(正味現金+収益バリュー)は百万円単位で算出しているために、(正味現金+収益バリュー) x 1,000としています。
その他にもいろいろ条件式を使っていますが、主に上記1~5の条件式を利用して抽出した中から、”時価総額/(正味現金+収益バリュー)”の数値が0.55以下の銘柄をピックアップして、9/23の終値で買い付けたとして、年末までのパフォーマンスを検証してみようと思っています。 本来であれば、収益力の持続性などの定性分析は必要不可欠と思われますが、ここでは四季報CD-ROMの機械的スクリーニングだけで、どれだけのパフォーマンスが得られるかテストしようと考えています。
ちなみに、抽出した銘柄は以下の通り。

※完全子会社化される銘柄、四季報CD-ROMの[最新発行済株式数(千株)]に反映されていない株式分割を行っている会社は除外しています。
さてさて、資産バリュー株とどちらが良いパフォーマンスとなるでしょうか。
- 関連記事
-