図書館から借りてきて読了。久々に読んだ海外の投資本です。 著者は『 ウォール街で勝つ法則』のジェームズ・P・オショーネシー。今回の本は多少タイトルが怪しげなのですが、収録されているデータは興味深いものでした。 グロース・バリュー、大型株・小型株などの各ファクターの過去のリターンについて分析されており、今後20年間で一番高いリターンを出すのがどのカテゴリの銘柄かを予想しています。で、いろいろな分析や過去のリターンのグラフの解説が書かれているのですが、結論から言うと、大型バリュー株(高配当利回り銘柄・ダウの犬など)と小型株(それも超小型株)を適度に組み合わせたポートフォリオが今後20年間でもっとも高いリターンを上げるとされています。ちなみに債券のリターンについても記載がありますが、基本的に債券のリターンはインフレに勝てるか勝てないかで実質リターンがほとんどないので長期投資の対象として不適格とされています。 これらのポートフォリオの資産配分については、保守的な配分からもっとも高リターンが望める配分までいくつか紹介されているのですが、投資信託を用いたポートフォリオの構築には否定的で、個別銘柄、もしくはETFを利用したポートフォリオの構築を勧めています。本書では実際に各ファクターの代表的なETFが紹介されており、海外(米国)の証券口座を利用している人であれば、すぐにでも本書で紹介されているポートフォリオが構築できそうです。 ただし、収録されているデータが米国株のものだけですので、日本株だけに投資している私のような投資家や、国際分散投資をしている投資家にはあまり役に立たないかもしれません。それでも、本書の中で興味深かったのは、超長期の20年移動平均リターンがバリュー・グロース、大型株・小型株などの各ファクターで算出されている点でした。 あくまで米国株のデータなので、どれくらい日本株と相似しているのかは不明ですが、少なくとも過去数十年間の超長期データでは、20年移動平均でもほとんどの期間でグロースよりバリュー、大型株より小型株のほうが高リターンをあげていることは確認できました。また、バリュー・小型株のいずれのファクターも大部分の期間で市場平均(S&P500)をアウトパフォームしています。 少し前のエントリで今後20年の株式のリターンがどうなるのかいろいろ考えてみようと書いていたのですが、この本はそのヒントを提供してくれそうです。 最後に、本書から心に残った部分を引用しておきます。 最も重要なことなので忘れないでほしいのは、どんなに入念に選んだ投資戦略でも、ほかの戦略やほかの市場セグメントに勝てない時期も必ずあるということだ。賢明な戦略に長期的に打ち込んで、そこからリターンを得られるのは、超長期に集中していられる投資家だけなのである。成功する投資家は受け身の姿勢を保ち、現在の市場の動きで自分の投資決定を変えたくなるような衝動を抑えることが肝心だ。
次はこちらが文庫化。いつの間にか発売になってました。 単行本版は高くて買う気がしなかったので、文庫化を待ってました。 早速ポチっと注文です。
少し前に図書館から借りてきて読み終わっていたのですが、読書メモを書くのを忘れてました。ということで、内容を思い出しながら感想を書いてみます。 どこでこの本を知ったのか忘れてしまいましたが、「純金融資産1億円以上の方だけが入会できるプライベート・クラブ」なるものが存在するということに興味があり、読んでみる事にしました。 ちなみに、そのプライベートクラブはここ。→ YUCASEE(ゆかし) 本の内容は、ゆかしに加入している富裕層とは具体的にどんな人々なのか、また、ゆかしではどのようなサービスを提供しているのかなどでした。また、ゆかしの会員では、何代も続く富裕層よりも、インテリッチと呼ばれる、一代で富裕層になった人々が多いという事実が意外でした。もしかしたら、昔からの富裕層はこのようなネットワークに参加しなくても、すでに自前のネットワークをもっており、ゆかしのようなサービスは必要ないということかもしれません。 いずれにしても、近年の情報化社会で一気に富裕層に躍り出た人々(いわゆるインテリッチ)の人生観などが垣間見れて面白い本でした。後半はゆかしのPRばかりで、あまり面白くありませんでしたが、私がいつか純資産1億円を達成したら、入ってみたいなと思わせる内容ではありました。 っていうか、いつになったら純資産1億円なんて達成できるのかわからないんですけどね(笑。
角山さんの『バリュー投資の強化書』を読了。「バリュー投資」と名の付く本はとりあえず買って読んでいます。そういうわけで、今回の角山さんの新刊も発売と同時に購入しました。角山さんの本はこれで5冊目ですね。 さて、本の内容ですが、6〜7割は過去の著作で触れられた内容と大体同じか、それをもう少し詳しく述べているような感じです。本書で新しく触れられているのは、第3章のPMVや、第5章のマーケットの大きな流れについての記述、それに第6章の市場心理や行動ファイナンスについて書かれている部分でしょうか。いずれにせよ、角山さんがあとがきで書いているように、この本が過去4冊の著作を通しての「集大成」だと感じました。約400ページの大作ですが、図表も多く、投資系の翻訳書に比べれば文章はずっと読みやすいです。お値段も少し張りますが、過去の著作と比べても、内容的にそれほど高いということはないのではないかと思います。 ということで、べた褒めのエントリになってしまいましたが、日本の投資家(プロ・アマを問わず)で、バリュー投資についてこれだけの本を書ける人は他にいなさそうなので、日本人が書いた本でバリュー投資を勉強しようと思うのであれば、角山さんの本が一番よいと思います。ただ、過去の角山さんの本でも感じたのですが、どうしても同意できない部分も多少あります。 例えば、第4章の定性分析について。これは何度も書いていることなんですが、やはり一般の投資家にはビジネスモデルや事業の詳細な分析は難しいのではないかと思っています。ほぼ株式投資だけで食べていけるようなセミプロの個人投資家や、自分の仕事がコンサルなどの経営に深くタッチする仕事である場合を除けば、定性分析を正確にできる個人投資家なんてそうはいないと思うのです(時間的な制約もあるでしょうし)。 個別株をやるなら有報まで読み込んで、しっかり投資先の企業を理解してから買うべき、というのも最もだと思うのですが、個別企業の分析に時間をかけすぎた場合のバイアス(「時間をかけて分析したのだから安心だ」といった)などを考えると、ある程度定量的に銘柄を絞り込んで、外れを掴んでも大きな被害が出ないように充分に分散投資する、というのが一般的な個人投資家には一番いいやり方のように思えます。 とはいえ、完全に定量的なアプローチ(スクリーニングだけなど)ではあまり面白くないのも事実なので、私の場合は自分が投資する企業が、自分がまったく興味の持てない事業を行っている場合や、コモディティ企業、景気循環銘柄などは、なるべくポートフォリオから外すようにしています。 と、いろいろ書いてきましたが、大前提として、ある本を読んでその通りにやれば簡単に利益が出せるとは思わないことが大切だと思います。この本に限らず、他にもバリュー投資(や他の手法)に関する書籍はたくさんありますので、とにかくたくさんの本を読んで勉強し、自ら投資を行うことで勉強したことを実践し、経験を積んだ上で、自分に向いた手法が見つけられれば、それなりの結果が出るのではと思っています。 問題は私がまだ「それなりの結果」を出していないことなんですよね・・・。こればかりは自分を信じて長い目で見るしかないかなぁと思っています。負け惜しみみたいですが(笑。
久々の投資本です。といっても投資というよりは投資哲学の本でしょうか。ジム・ロジャーズが娘のために書いた雑誌の連載がもとになっているようです。 今までジム・ロジャーズの本を読んだり、講演を聞いたりしている人にとっては、取り立てて目新しいことが書かれているわけではないので、あまり面白くないかもしれません。ただ、親として自分の子供に読ませたい本としてはいい内容だと思います。我が子にもいつか読ませてあげたい本です。親として自分の子に贈りたいと感じた文章がいくつかありました。 ひとつ言えることは、素晴らしい人生を歩むためには、「お金をもらえなくても、やりたいことをやるべきだ」ということ。それが成功の鍵だ。
人生で私が経験したあらゆる冒険の中で、究極の冒険は娘である君なんだ。君は、私がこれまでに見たことのない世界を見せてくれた。
君の父は、君に何よりも自分に正直であってほしいと願っている。高潔で、自分で考え、真摯に自らの間違いを認め、正していける人間になって欲しい。君の父は、いつだって、その手助けをしていく決心をした。君がこの世に生を受けたその日から。
君が君の夢を実現すること。それはまた、私の夢でもある。私は父親として君が幸せで満たされた人生を歩むことを望む。君が、情熱を持ったものを追いかけ続けることを望む。他の誰かの夢、君の父の夢でもなく、君自身の夢を追うことが最高の生き方だ。多くの人たちは他の人々のために生きようとする。子供のため、配偶者のため、はたまた隣人や友人のため。私は君にそのような生き方を望まない。私は君を愛しているから、君は君らしく生きてほしいし、そして、一所懸命に生きる君を、私はなにより愛しいと思うだろう。
娘よ、懸命に走れ。できるだけ遠くまで。そうすれば君の夢は必ず実現するだろう。
発売直後にアマゾンに注文したのですが、他に未読書が溜まっていて、最近やっと読み終えました。 橘玲独特の少々毒のある文章で楽しく読めました。全体的に橘玲氏の過去の著作をアップデートして一冊にまとめたような内容になっています。個人的に面白かったのは1章、4章、6章でした。以下、章毎に簡単に感想を書いてみようと思います。 第1章 究極の投資VS至高の投資 個人がいかにしてプロのポートフォリオに近づけるか(もしくは勝てるか)について述べられています。結論はサラリーマンの人的資本を債権に例えて、手持ちの資金にレバレッジをかけてリスク資産に投資すべしということのようです。内容的には『臆病者のための株入門』の続編のような感じです。自分の人的資本に対して、それほど多くない金額のアセットアロケーションをこまごまと考えている人にとっては皮肉な内容に感じそうです。経済合理性を突き詰めると安定した収入のあるサラリーマンであればフルレバレッジすべしということになるのかもしれませんが、私には怖くて出来ません(笑。 第2章 誰もがジム・ロジャーズになる日 内容は面白いのですが、新興国への投資には興味がないのでスルーです。 第3章 ミセス・ワタナベの冒険 こちらも内容は面白く、FXや為替の仕組みを理解できるのですが、興味がないので流し読みでした。個人的にFXは胴元の取り分が少ない割のいい博打だと思っています。 第4章 革命としてのヘッジファンド 前半のヘッジファンドの話も面白かったのですが、後半の複雑系の科学と投資を結びつけた部分が『投資の科学』を簡略化したような内容で興味深かったです。私は個別株投資でファットテールの端っこを狙っているつもりなので、著者の意見とは少し違って、市場はそれほど効率的ではないと思っています。ファットテールの「身長10メートルの巨人」という例えは面白いのですが、合理的な個人が合理的な市場を形成しているのではなく、非合理的な個人が相殺しあって結果的に市場が「ある程度」合理的だと仮定すれば、どこかに「身長10メートルの巨人」はいると考えています。 第5章 タックスへイヴンの神話と現実 『マネーロンダリング入門』とほぼ同じような内容でそれをアップデートしたような感じでした。日本でも沖縄かどこかがタックスヘイヴンになれば面白そうなのになぁなんて妄想してしまいました。 第6章 人生設計としての海外投資 この章は今までの橘玲氏の主張を繰り返しているような感じです。海外投資と非居住者になることによる合法的節税について語られていますが、最後はやっぱり主権国家を否定しているのかなぁと思わせるような内容でした。PTという生き方については、家族も持たずに一人で生きていく覚悟があるのなら案外簡単に実現できそうな気もします。ただ、一般の人々にとっては家族や友人、その他のいろいろなしがらみや健康面(特に老後)の問題などを考えるとなかなか実現するのは難しいのではと思います。 過去に橘玲氏の本を読んだことがある方も充分楽しめる内容になっていると思いますし、金融に興味があるのならこの本から始めて、そのほかの橘玲の本を読んでみるのもいいかもしれません。ちなみに、 公式サイトによると、このシリーズは実践編を含めて3部作になるようで、続編の発売が楽しみです。
アンチ・バフェットと言いつつ、最近なぜかブログ上でバフェット関連の話題が多いので、勢いで買ったまま放りっぱなしだったこの本を引っ張り出して読んでみました。 またまたメアリー・バフェットとデビット・クラークコンビのバフェット本です。タイトルもどうなんだろ?と思いましたが、内容もイマイチでした。同じ著者の『億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術』とほぼ同じような内容で、バフェット銘柄を後追いで分析し、バフェット銘柄の特徴を定量化しようとしているのですが、残念ながらこの方法ではバフェットのような銘柄選択をするのは難しいと思います。 前回紹介したバフェット本もメアリー・バフェットとデビット・クラークの著書でしたが、この2人が書いたバフェット本はイマイチダメなような気がします。これらを読むのであれば『バフェットからの手紙』か、せめて『バフェットの法則』や『ビジネスは人なり 投資は価値なり』のほうが参考になると思います。 個人的には、最新の" Warren Buffett's Letters To Berkshire Shareholders"を翻訳して紹介してくださっているAlphaさんの エントリが、実は一番すばらしいのではと思っています。こんな貴重な情報が、無料で手に入れられることに感謝しなければなりません。
バフェット本の新刊が出ていたので早速買ってみました。常々バフェットの投資手法は素人には真似できないと思っているのですが、バフェット関連の本が出ると思わず買ってしまいます。 内容は師匠(バフェット)の言葉に弟子(著者)の註釈が長々と付け加えられているという形式で、『論語』の註釈本に似た雰囲気です。少しバフェットを神格化しすぎているような感じもします。バフェット信者本といった感じでしょうか。"THE TAO OF WARREN BUFFETT"という原題を見ても、いかにもそんな感じがします。弟子の註釈が悪いのか、訳者が悪いのか、なんとなく違和感を感じる部分が多く、取り上げられているバフェットの言葉についても他にもっといい警句があったろうにと思います。 と、なんだかんだ文句を言いつつ最後まできっちり読みました。一番いいのはこの本を読むより『 バフェットからの手紙 』を読んでバフェットの生の言葉を聴くことだと思いますが、これを読んだ上で、なにか気の利いたバフェット語録はないかとページをパラパラめくりながら読むにはちょうどいい分量の本かもしれません。
『バリュー投資』、先日届いたので早速読んでみました。 バリュー投資関連の翻訳書といえば『賢明なる投資家』や『バリュー投資入門』などがありますが、この本は"The Little Book of Value Investing"という原題の通り、『賢明なる投資家』ほど敷居が高くなく、『バリュー投資入門』ほど専門的過ぎず、ほどよくバリュー投資の要諦がまとまっています。今まで何冊かの翻訳本や日本人投資家が書いたバリュー投資関連書籍を読んできましたが、バリュー投資の歴史や基本的な考え方を知るのであれば、この一冊を読めば充分かなと思います。 この本の中で、現在の株安を乗り切るために参考になりそうな一節があったので引用しておきます。 「長期間にわたるバリュー投資は、ニューヨークからロサンゼルスへのフライトと同じようなものだ。カンザスあたりで乱気流に見舞われるかもしれないが、飛行機に問題なければ、途中で脱出しなければならない理由は何もない。そのうちに、恐らくは予定通りに、無事に目的地に到着するだろう。投資も同じだ。きちんとした銘柄でポートフォリオが構成されているのなら、多少の乱高下があってもマーケットから逃げ出す必要は無い。いずれは資産運用の目的を達成できるに違いない。」
ということで、今はジタバタせずに自分のポートフォリオを信じて放置しようと、改めて考えています。 ところで、監訳者のあとがきによると、この本は同じ日経BP社から出版されている『 マネーの公理 』と『 マネーと常識 』の姉妹書となるようです。それぞれトレーダー向け、インデックス投資家向け、バリュー投資家向けと、対象とする読者はまったく違いますが、どの本もそれなりに納得させられる内容の本でした。 私は自分の性格や好みからバリュー投資をやってますが、インデックス投資にしてもトレードにしても自分の性格や素養に合っていて、首尾一貫した手法を確立していれば利益は上げられるのかなと考えています。ただ、相場の状況によってトレード・インデックス投資・バリュー投資から他の投資戦略へと乗り換えてしまうと、恐らくいつまでたっても利益は上げられないのだろうなぁとも感じています。 この本、久々に出たバリュー投資の良書で、バリュー投資家にとっては必携の一冊かと思います。基本に立ち戻るという点で、バリュー投資家の方々にはかなりお薦めです。
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